人間発注書
高原先生の言う通りだ。


生徒の両親が決めて判断した事を、否定することなんて容易くないだろう。


瑠菜の家だって、一見するだけではお金に困っているようには見えない。


ミホコの家も同じことだ。


外部の人間が一見するだけで理解できる部分なんて、きっとほとんどないんだ。


「俺はミホコの変化に気が付いてやれなかった」


それだけじゃない、新人の変化にだって気が付かなかった。


その事実が重たくのしかかって来る。


あれだけ2人の近くにいたのに、一体俺は何をしてたんだ。


自分をそうやってののしってやりたかった。


けれどもう遅い。


なにもかもが、遅いんだ。
< 182 / 304 >

この作品をシェア

pagetop