人間発注書
「もしすでに購入者が決まっているなら、施設にいる」


村山の言葉に俺は深く頷いた。


「販売される人間が購入者の手に渡る前に施設に入り、教育を受ける。それは知っているんだな?」


「調べたので、知っています」


気が付けば、手にぐっしょりと汗をかいていた。


ここで失敗したら村山はなんの情報も教えてはくれないだろう。


緊張感が俺を支配して縛り付けていた。


「俺は何度かその施設を訪れたことがある。購入する人間がどのくらい成長したかを確認するためにね」


村山がそう言いニヤリと口角を上げた。


俺はハッとして伸紀と視線を合わせた、


村山は施設の場所を知っている!


心臓が高鳴り、期待に胸が膨らむ。

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