人間発注書
☆☆☆

その村は電車を乗り継いで、2時間ほどで到着した。


途中から電車ではなくなり汽車になり、最終的には小さな無人駅に降り立った。


無人駅はほとんど誰も使わないのか、蜘蛛の巣があちこちに張り巡らされていた。


駅の周辺もほとんど田んぼばかりで、タクシーやバスの気配もない。


ただ、鳥のさえずりが聞こえてくるばかりだ。


俺も伸紀も来たことのない村だった。


「ここからもう少し距離がありそうだな」


スマホの地図アプリで施設の場所を確認していた伸紀がそう言った。


「どのくらいの距離だ?」


「山まで2キロほど。そこからまた登っていく事になる」


2キロなら歩ける距離だ。


けれど山に入ってからが更に長い。


「とりあえず歩いて行こう」


タクシーもないし、無駄な金だって使いたくない。


俺たちはそう判断して歩き出したのだった。
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