人間発注書
《ミウ》はそれ以降なんの書き込みもしていない。


掲示板内のみんなは《ミウ》の事を荒しだと思っているようだけれど、本当に荒しなら、もっと分かりやすく、そんな簡単には引き下がったりしないんじゃないかという気持ちになった。


そして《ミウ》の書き込み以降、時々Trustの品質を疑うような書き込みを見受けられるようになっている。


「こんな書き込み、今までなかったのに……」


スマホ画面を見つめながら俺はそう呟いた。


Trustは品質良さで勝負している通販サイトだ。


ここでこんな事を書かれていたら、利用者が減るかもしれない。


そう思うと同時に、瑠菜の笑顔を思い出していた。


あの笑顔が消える事はないと思うけれど、少しでも瑠菜の力になりたい。


そんな、自分勝手な感情に突き動かされるようにして、俺は掲示板に書き込みを始めたのだった。
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