人間発注書
☆☆☆

想像通り、門を超える事は安易にできた。


どこかに監視カメラが付いていて外部者は追い払われるかと思っていたが、予想外にカメラの存在はどこにもない様子だった。


コンクリートで固められた道を歩き、入口の前へと向かう。


その入り口は小さく、1人ずつしか通る幅がない。


俺は灰色のドアノブに手をかけた。


心臓がドクドクと早く鳴りはじめ、手に汗がにじんでくる。


この奥に何が待ち受けているのか、想像しただけで恐怖に震えそうになった。


見えない施設内からは重たい雰囲気が漂っているような気配がした。


俺の後で伸紀がナイフを握りしめた。


万が一何かがあった時の為に、すぐに攻撃できる体制を作っておかなければならない。


「開けるぞ」


俺は伸紀にそう声をかけ、ドアを開けたのだった。
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