人間発注書
☆☆☆

そのドアはなんの苦労もなく簡単に開いた。


開いた瞬間に警報が鳴るとか、誰かが攻撃してくるような事態にもならなかった。


鍵くらいはかかっていると思っていたので拍子抜けしたが、まるで施設内へとおびき寄せられているような感覚になり、気持ち悪さを感じた。


窓のない建物の中は蛍光灯が輝いているが、それでもやっぱり薄暗い。


入ってすぐの場所は、学校で言う下駄箱のような場所になっていた。


左右に並んだ木製の下駄箱の中に沢山の靴が並んでいる。


これだけの人数がこの施設内にいるのだとわかると、気持ちの悪さを覚えた。


灰色の廊下を進んでいくと浴室と書かれたドアや食堂と書かれたドアが目に入るようになった。


その奥に進んでいくと、番号が書かれたドアがいくつも並んでいる。


きっとみんなはこの番号が書かれた部屋にいるのだろう。
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