人間発注書
だけど、肝心のミホコがどの部屋にいるのかがわからない。


手当たり次第にドアを開けて確認するワケにもいかないし、中から人が出て来るのを待つしかないかもしれない。


そう思い、俺と伸紀はトイレに身を隠すことにした。


2人で個室に入り、スマホを確認する。


時刻は昼の1時を過ぎたころだった。


しかし、当然のように電波はない。


誰かに連絡を取る事ができれば施設の場所を教えることもできるのに。


そう思うと、歯がゆい気持ちになった。


「何十人、何百人がこの施設にいるのか知らないけどさ、少し異様だよな」


伸紀がふと、そう言った。


この施設自体が異様な存在なのだからそんなの当たり前だと思ったが、伸紀が言いたい事はそうではないのだと、すぐに気が付いた。


老若男女問わず様々な人がここにいる。
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