人間発注書
タケト
彼らが全員食堂へ入ったのを見届けた俺たちは、手ごろな部屋のドアを開けて中を確認してみることにした。


部屋の中は12畳ほどの広さがあり、二段ベッドが2組ある。


ここは4人部屋のようだ。


テーブルと本棚があるだけの簡単な部屋だった。


中央に置かれたテーブルの上には読みかけの漫画が置かれていて、ここの部屋の人間はさっきまでこれを読んでいたのだとわかった。


意外と自由な空間に俺は脱力していくのを感じた。


村山の家にいた女性たちを思い出すと、施設内ではどんな過酷な事が行われているのかと内心不安で仕方なかったのだ。


けれど、彼らにはこうして好きな漫画を読むことができる余裕がある。


もちろん、購入者のための訓練というやつもやるのだろうけれど、人間らしさの残る光景に安堵した。
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