人間発注書
通りで、ネットでどれだけ調べてみてもここの情報だけは出てこなかったわけだ。


「それでも教えてくれた人がいた。だから俺たちは友達を助けに来たんだ」


そう言うと、少年の目が輝いた。


「友達を助けに? すごい、カッコいいね!」


純粋に瞳を輝かせる少年に胸がズキリと痛んだ。


俺たちが助けにきたのはミホコだ。


できればこの少年も一緒に連れ出してやりたいけれど、それは不可能だった。


この施設へ侵入する時点で大きなリスクを背負っている。


これ以上のリスクを背負えばミホコを助けることができなくなってしまうだろう。


「自己紹介が遅れちゃったね。僕はタケト。もうすぐこの施設から出て購入者と一緒に暮らし始めるんだ」


タケトはなんでもない事のようにそう言った。


こんな幼いタケトがどんな奴と暮らす事になるのか、考えて奥歯を噛みしめた。
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