人間発注書
お金持ちなおばさんの家で何をやらされるんだ?


タケト、お前はこの施設で何を学ばされているんだ?


そう質問したくても、できなかった。


聞けばきっとその事実の重さに押しつぶされてしまうから。


タケト自信明るく振舞っているが、きっとすべてを理解しているのだろう。


目は伏せられたままになっていた。


「タケト。俺たちはここに友達を助けに来たんだ。まずはその友達を助ける。でもきっと、お前の事も助けにくるよ」


伸紀がハッキリとした口調でそう言ったのだ。


俺が止める暇もなく。


タケトはその瞬間目を輝かせて顔を上げた。


「本当に!?」


「あぁ。きっとだ」


伸紀はそう言って、タケトの頭を撫でたのだった。
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