人間発注書
もう呆れるしかなかった。


施設の事は絶対に口外してはいけない。


そう聞かされてきたから施設の場所が記載されたものがなにも出てこなかったのだ。


つまり、ここに来ることができる人間はごく一部だけだということ。


俺たちが簡単に施設内に入る事ができたのは、施設側の人間に大きな隙があったからだ。


門には鍵がかけてあったが、入口には鍵がかかっていなかった。


それがなによりの証拠だ。


施設内に入れられている人間は施設側の言いなりだから、外へ出るなと言われればその通りに動くハズだ。


1人や2人逃走しようとする人間がいれば、見せしめに罰を与えれば他の全員も大人しくなる。


そうやって、施設の体勢が緩くなっていただけなんだ。

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