人間発注書
☆☆☆

ミホコの手をしっかりと掴んだ俺は全力で走って階段を駆け下りた。


一階の廊下に人がいないのを確認し、入って来た入口へと急ぐ。


伸紀がタケトの事を気にするかと思ったが、伸紀はなにも言わずに俺たちの後について来た。


自分のやろうとしていることが無謀なことだと、気が付いたのかもしれない。


建物を出て門の前まで走る。


ミホコは息を切らしながらも必死でついて来た。


「ここまで来ればもう安心だ」


俺はそう言い、ミホコの腰に腕を回しその体を持ち上げた。


ミホコは精いっぱい両腕を伸ばして門の上部に手をかけた。


後は体重を下から持ち上げてやるだけだった。


グイッとミホコの体を押し上げると、その体は簡単に門の向こう側へと移動した。


上手く着地をしてミホコは笑って見せる。
< 221 / 304 >

この作品をシェア

pagetop