人間発注書
その時だった、途端にけたたましいサイレンのような音が鳴り響き始めたのだ。


それは施設から聞こえて来る音ではなく、ミホコが身に着けていた腕時計から聞こえて来る。


俺も伸紀も、一瞬にして青ざめた。


施設に鍵もかけられていないもう1つの理由がこれだったのだ。


施設に入っている人間はみんな同じ腕時計をしていた。


これは施設に入ってから身につけるように指示されたものに違いない。


この敷地から一歩でも外へ出れば今のようにサイレンが鳴るような仕組みになっているのだ。


俺と伸紀は門を上り、ミホコの手を握って森の中へと走った。


どこまで逃げてもサイレンの音は森中に響き渡っている。
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