人間発注書
☆☆☆

目を覚ました時、灰色の部屋の中にいた。


地面は硬くて体中が痛む。


隣へ視線を向けると同じように伸紀がいた。


伸紀は重たい瞼をこじ開けるようにして目を覚ました。


ここはどこだ?


そう考えるより先に声が聞こえて来た。


「お前ら、ちょっと無謀だったな」


その声にハッとして視線を向ける。


部屋の一部の壁は鉄格子になっていて、部屋の外が丸見えの状態だ。


まるで映画で出て来る牢獄のようだった。


その向こう側に森で見た男が立っていたのだ。


そうか、俺たちは捕まってしまったんだ。


そう思って体を起こそうとすると、痛みが全身を走った。
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