人間発注書
「無理して起き上がろうとするなよ。スタンガンで気絶させたんだ、まだ横になっていた方がいい」


スタンガンなんて持ってやがったのか。


全く気が付けなかったのは、相手がプロで俺が素人だからだろう。


実力の差をまざまざと見せつけられてしまい、俺は奥歯を噛みしめた。


「ミホコはどこだ?」


伸紀が男へそう聞いた。


見たところ同じ部屋の中にはいない。


「安心しろ。彼女は売り物だ。こちらも傷をつけたりといった手荒な真似はできない」


それはきっと本当のことなんだろう。


ミホコが無事だとわかり、少しだけ安堵した。


男は丸椅子を自分の方へと引き寄せてそれに腰を下ろした。
< 230 / 304 >

この作品をシェア

pagetop