人間発注書
俺と伸紀を交互に見て「この施設の存在をどこで知った?」と、聞いて来た。


必ずその質問はされると思っていた。


ここの存在は誰にも知られていないはずだからだ。


だから安心して鍵もかけずにいたのだから。


「言えない」


そう言うと、男がスーツの内側から黒い箱のようなものを取り出した。


それがなんなのかわからなかったが、すぐにスタンガンだと気が付いた。


きっと、俺たちを気絶させたのもあれだったんだろう。


「スタンガンっていうのはただ相手を痛めつけるためだけにあるんじゃないんだ」


男はそう言い、スイッチを押して見せた。


スタンガンの先からバチバチと青い火花のようなものが散る。


「中には殺傷能力を持つものもある」


男は壁際に置いてあったクッションにスタンガンを押し当てた。


バチンッと大きな音がした直後、クッションは粉々になり炎に包まれた。
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