人間発注書
背筋がサッと寒くなる。


俺と伸紀もあれと同じようになるという意味なんだろう。


「素直に話した方がいいぞ?」


男がニヤリと笑った。


俺はゴクリと唾を飲みこんで伸紀を見た。


伸紀はコクコクと頷いている。


聞いた先は村山だ。


購入者側がバラしてしまったとなると、施設の人間はそれほど強く出られないはずだ。


村山はこの施設にとってはいい常連客なのだろうし。


そう考え、俺は素直に村山の名前を口にした。


男はあからさまに舌打ちをして「あのエロジジィか」と、呟いた。


面倒くさそうに頭をかくところをみると、やはり強くは言えないのだろう。
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