人間発注書
☆☆☆

ミホコは本当になにも知らずにここへ来たようだ。


新人と両親が自分を売ったのだと知った時、ミホコは取り乱してしまった。


嘘だ嘘だと叫ぶミホコを大人しくさせるのは大変だった。


俺だって今でも信じられない。


新人はあんなにミホコの事が好きだったのだ。


なきじゃくるミホコをどうにかなだめて、山を下りて来た。


その頃にはさっきまでミホコがいた施設がなんだったのかの説明も終わっていた。


ミホコはあの施設内で料理や掃除の仕方を習っていたようで、購入者がミホコに何を期待していたのかなんとなくわかって気がした。


すくなくとも、村山のような購入者ではなかったということで、少しだけ安堵した。


「これからどうするの?」


ミホコに言われて俺は周囲を見回した。


辺りは山と川と田んぼばかりで、宿泊施設は目につかない。


「とりあえず今日は近場に止まって、次の作戦を考えるつもりなんだ」
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