人間発注書
現実がどれだけ過酷か分かっている俺は夢にすがりつこうとする。


けれどみんなは俺から遠ざかっていく。


手を伸ばしても届かない。


走っても届かない。


やがて、俺は目を開けていた。


ボンヤリとした視界の中に天井が見える。


視線を巡らせるとミホコがテレビを見ているのが見えた。


「起きた?」


寝返りをうった俺に気が付いたミホコがそう聞いて来た。


「あぁ……」


俺は小さく返事をして起き上がった。


少しは頭がすっきりしている気がする。


ミホコを助け出す事ができた現実に、心が軽くなるのを感じた。
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