人間発注書
「晩ご飯食べようよ、あたしお腹へっちゃった」


ミホコはそう言うと隣町で買っていたお弁当をテーブルに広げた。


ミホコは昼から食べていないから、特盛の牛丼弁当だ。


そんな女らしくない弁当に俺は笑ってしまった。


「だ、だってお腹減ってるんだもん!」


笑われた理由をすぐに理解したミホコが顔を赤らめてそう言った。


「別に、いいと思うよ?」


そう言いながら俺は自分の天丼弁当を引き寄せた。


サイズはミホコの牛丼弁当の方が大きい。


ミホコは顔を赤らめながらも牛丼弁当にがっついた。


俺が起きるまで我慢してくれていたのだと思うと、急にミホコへ対しての愛しさが込み上げて来た。


俺はその感情を慌てて振り払った。


違う違う。


これは恋愛感情とかじゃなくて、単純に友達としての愛情だ。


自分にそう言い聞かせて。天丼弁当を口に運んだのだった。
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