人間発注書
しかしタケトは1年生の頃から通っていた中学に思い出があり、どうしても友達と一緒に卒業したかった。


そのため、中学校の近くにある親戚の家にお世話になることになったのだそうだ。


そして、売られてしまった。


親戚の家は特にお金に困っている様子はなかったのに、両親やタケト本人にはなんの相談もなしに、『人間発注書』に売り飛ばし、そして姿を消したらしい。


なんてひどい奴がいるんだ。


俺はその話を聞いただけで憤りを感じた。


握りしめている受話器が壊れてしまうんじゃないかと思うほど、手に力が入っていた。


人の子供を勝手に売るなんて、人間のやることじゃない。


『そこの場所を教えてください。私たちもタケトを助けに行きます』


その言葉に、俺はこの村の名前を教えたのだった。
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