人間発注書
施設関係者を車から下りてこさせるだけなら、そこまで本格的な事はしなくてもいいという判断になったのだ。


「ミホコたちはどこですか?」


ミホコと父親も近くにいるハズだった。


「道を挟んで反対側にいるわ」


2人の役目は車から2人を連れ出し、森の中へ逃げ込むことだった。


俺は母親が車に轢かれた後、息子を装って森の中から現れできるだけ時間稼ぎをすることだった。


親子で山菜を取りに来ていたという設定だけど、相手が信用してくれるかどうかはわからなかった。


うまく行くだろうか?


緊張で全身に汗が噴き出しているのを感じる。


その時だった、車の排気音が聞こえて来て俺は身を固くした。
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