人間発注書
次第に客は減っていき、会社は商品の金額を下げ始めた。


そうなると、どうしても当初のようにいい商品ばかりを扱うことはできなくなる。


サイト上でB級品として売り出す商品も多々あったが、元々のサイトイメージを引きずる消費者が多くいたため、B級品だとは思わず不良品だと判断してしまったのだ。


その頃返品や返金に応じる人手を削減していたため、対応ができない時期ができてしまった。


それらはあっという間にネット上で広まり、気が付けば取り返しがつかないところまできていたそうだ。


俺は全文を読み終えて深くため息を吐き出した。


瑠菜を狙っていた買い手がどのくらいいるのかわからない。


けれど、ニュースでこれだけ話題になっているのだから、沢山の希望者がいたに違いない。


「購入者は村山だ」


伸紀が小さな声でそう言った。


「……やっぱり、あいつなのか」


俺はそう呟いて村山の顔を思い出したのだった。
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