人間発注書
俯いていると、高原先生が困ったようなため息を吐き出した。


「あなたたちがやったことはだいたい分かってるわ。実はもう警察から学校へ連絡が来てるの」


その言葉に俺はハッとして顔を上げた。


「もしかして、家にももう連絡が行ってますか?」


「そうね。家には学校より先に連絡が行ってたかもしれない……」


俺は両親の顔を思い出し胸がギュッと痛くなった。


俺が帰った時にはすでに全部知っていたのだ。


知った上で、俺を咎めようとしなかったんだ。


そう気が付いた瞬間、涙が出そうになった。


慌てて涙をひっこめて俺は先生を見た。


「俺、自分がしたことが間違ってるなんて思っていません」
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