人間発注書
☆☆☆

高原先生の家から村山の家までは結構な距離があった。


途中でタクシーを捕まえようかと考えたけれど、身元がバレてしまう危険もあって使う事はできなかった。


結局1時間半ほど歩いてようやく見慣れた屋敷の前に辿りついていた。


途中コンビニで大きなペットボトルのお茶とおにぎりを買ってきている。


屋敷の周囲は木々に覆われていて、身を隠す事は十分にできた。


俺はこれから村山の家を見張るのだ。


ここに必ず瑠菜が来る。


瑠菜を助けることができるのは、俺が捕まるまでの限られた時間内だけだ。


やっとここまで来た。


俺の一番の目的が果たされれば、その後はもうどうでもよかった。
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