人間発注書
俺が犯罪者だとわかれば、相手は迷わず殺しにくるかもしれない。


死ぬとしても、それは瑠菜を助けてからだ。


俺は瑠菜が家の中へ入って行ったのを確認し、足音を消しながら屋敷の裏手へと回った。


裏手はすべてが壁に覆われているわけではなく、ちゃんと裏口があったのだ。


鍵はかけられていると思うが、乗り越えられない高さではない。


裏口の門に手をかけた、その時だった。


「なにしてるの?」


そんな声が聞こえて来て俺は小さく悲鳴をあげた。


見ると、門の内側で女性が掃除をしていたのだ。


背中に冷や汗が流れて行く。


人がいるとは思わなかった。
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