人間発注書
こんな事を書いたところで意味なんてない。


通報する人間はとっくに通報しているに決まっている。


そう気が付いていたからだと思う。


このサイトがいつから存在しているのかわからないけれど、まだ摘発されていないと言う事だ。


俺は再びゴクリと唾を飲みこんだ。


一旦《人間発注書》のサイトを閉じて警察署が作っているサイトを立ち上げた。


トップページには警察署の可愛いマスコットキャラクターが表示され、警察の活動についてダラダラと書かれている。


地域の行事に参加するだの、小学校で自転車の指導をするだのと言ったどうでもいい記事をどんどん読み飛ばして行く。


やっぱり、《人間発注書》のことなんて書いてないじゃないか。


と、半ばホッとした時だった。


サイトの一番下に《重要事項》と書かれたリンクを見つけてしまった。


まさかと、嫌な予感が胸をかすめる。


けれど、見つけてしまったのだから無視するワケにはいかない。
< 30 / 304 >

この作品をシェア

pagetop