人間発注書
そして高原先生は……。


「村山が暮らしてた屋敷は取り壊す事になったらしいな」


伸紀と一緒に学校へ向かっている途中、伸紀がそう言って来た。


「そうなのか?」


「あぁ。もう誰も暮らしてないし、いいイメージもないしなぁ」


高原先生は村山と共にこの街から姿を消した。


俺の大胆な交渉に村山は応じたのだ。


それだけじゃない、屋敷にいた女性たちの残りの借金をすべて肩代わりしてやったのだ。


もちろん、瑠菜や伸紀の分もだ。


黒スーツの男によれば高原先生の生涯を売って得られる金額は2億円弱だったそうだが、村山にとってはもっと高価で、何者にも変えられない存在だったみたいだ。


村山がこの街に、そして女に固執していた理由は、すべて高原先生を手に入れるためにあったのだ。
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