人間発注書

☆☆☆

いつも通りバイトに入ったものの、気持ちはついてきていなかった。


何度もミスをして何度も客に頭を下げる。


どうにかして《人間発注書》から頭を切り替えようと思えば思うほど、うまく行かない。


あっという間にバイトが終わる時間になっていて、俺は盛大にため息を吐き出した。


今日ほどバイトがうまくいかなかった日はないと思う。


「どうしたんだよ秋夜」


同じシフトに入っていた新人が心配してそう声をかけて来てくれた。


それにもうまく笑って返す事ができない。


「ちょっとな……」


そう言って、俺は黙り込んでしまった。


新人もきっと《人間発注書》の事をとっくの前から知っているのだろう。


そう思うと、今更《人間発注書》についてくどくどと文句を言う事ははばかられた。


せめて、みんなと同時期に知っていれば同じように愚痴や文句をこぼして発散することもできたかもしれない。