人間発注書
新人に訊ねてみようと思ったところで、店長が戻って来た。


店長は鼻歌を口ずさみ、誰がどう見てもご機嫌な様子だ。


「今のお客さんは何を買って行ったんですか?」


そう聞いてみると、店長はニヤリとした笑みを浮かべた。


「子供は知らなくていい」


「は? 子供って俺の事ですか?」


俺は思わず自分を指さしてそう聞いていた。


バイトを始めた時点で少し大人になっていたような気になっていたので、店長から子供と言われた事に心底驚いてしまった。


「20歳以下は子供だ子供」


シッシとあしらわれるようにそう言われ、俺は仏頂面になったのだった。

< 42 / 304 >

この作品をシェア

pagetop