人間発注書
☆☆☆

「20歳以下は子供ってなんだよ」


家に戻った後も店長に言われた一言を思い出し、ポツリとつぶやく。


酒やタバコはもちろん買えないけれど、ちゃんとバイトもできている。


学校だってちゃんと行っている。


法律上子供でも、俺自身はシッカリしていると思っていた。


20歳というくくりを強調して言って来た店長の言葉には《人間発注書》を思い出さずにはいられなかった。


あのカタログを使えるのは20歳以上だと書いてあった。


俺は事務所内に入っていた男の顔を思い出す。


目が大きくて整っている顔立ちだが、太っているせいですべてのパーツが埋もれて見えた。


「あの男が購入者……?」


あの男がコンビニから人間を発注していたとすれば、腑に落ちる。


俺は見たことのない客だったけれど、新人は上得意様だと言っていた。


たまにしか来ないが一度に購入する金額がすごいのだと。


店舗に置いてある《人間発注書》から購入した場合は、購入した人間の金額から何パーセントかが店に入るとも書いてあった。


あの客が今日人間を購入したのだとすれば、店長がご機嫌だった理由もわかる。


「もぉ~マジでなんなんだよ」


俺は頭をグチャグチャとひっかきまわして、考える事をやめたのだった。
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