人間発注書
伸紀は相変わらずしかめっ面のまま靴を睨み付けている。


確かにTrustは実店舗がある。


けれど、その展示品を送ってくるなんてありえないだろう。


「最近、Trustの評判が下がってきてるのは知ってるんだろ?」


伸紀にそう聞かれて俺はグッと返事に詰まってしまった。


もちろん知っている。


それが原因で《人間発注書》というものまで知ってしまったのだから。


「経営状態の悪化っていうの、たぶん嘘じゃないぞ」


「それは、そうかもしれないけど……」


だからといってこんな粗悪なものを送ってくれば、今までの客を遠ざけてしまう事になる。


それでは経営状況だって悪くなる一方だ。


「そうだ。返品は?」


「もちろん連絡を入れた。でも反応がないんだ」


伸紀の言葉に俺は更に目を見開いた。


サイトで商品を購入するときは、その商品が返品できるかどうかというところも大きな問題になってくる。


もちろん、Trustでは返品や交換に関しても評判は悪くなかった。
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