人間発注書
「それ、本当にTrustに連絡したのか?」


万が一、伸紀が連絡先を間違えていた。


なんて可能性だってあるわけだ。


しかし、そんな事を口走ってしまった俺を伸紀が睨み付けて来た。


「俺が嘘ついてるように見えるか?」


「それは……見えない」


俺は正直にそう言ってうなだれた。


伸紀はそんなくだらない嘘をつく奴じゃない。


それは俺もよく知っている事実だった。


「瑠菜ちゃんの事が好きなのはわかるけど、親友の俺を疑うなよ」


「ごめん。悪かった」


「でもまぁ、気持ちはわかるよ。仕事がないって言われてる中Trustだけは景気がよかったもんな。俺だってまだ信じられねぇもん。Trustがこんな商品を送ってきたなんてさ」


伸紀はそう言い、一度もはかれていない靴を見つめたのだった。
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