人間発注書
そう聞くと、新人は驚いた顔をこちらへ向けた。


どうやらあの老婆の情報を新人も知っていたようだ。


「良く知ってるな」


「昨日偶然人から聞いたんだ。でも、女が出入りしてるなんて本当なのかよ? あの容姿でモテるとは思えないけど」


そう言うと、新人は少し大げさにため息を吐き出した。


「見た目なんてどうでもいいんだよ。あの屋敷に暮らしてるんだぞ? いくらでも金があるはずだ」


「そうなのかなぁ?」


俺は首を傾げた。


村山という男がどんな仕事をしているか知らないが、そんなに金持ちのようにも見えなかったからだ。


コンビニで見かけた時も、昨日見かけた時も、どこにでも販売していそうな服を着ていた。


靴だって、特別高そうには見えなかったのだ。
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