人間発注書
「どうした? あのオッサンの事がそんなに気になるのか?」


「まぁ……高額商品ってなんだったのかなって思って」


俺はお菓子を並べ終えてか空になった段ボール箱を潰していく。


同じようゴミを片付けていた新人が手を止めて俺を見た。


あまりにも見つめてくるので俺は顔を顰めて、新人と同じように作業を止めてしまった。


至近距離で同性に見つめられるのはなかなか気持ちが悪い。


「お前はまだ子供だから教えられない」


新人の言葉と、この前店長に言われた言葉がほとんど一緒だったため、俺は瞬きを繰り返す。


「なんだよそれ。店長にも似たような事を言われた」


「店長にも聞いたのか? 教えてもらえるワケがないだろ」


「なんだよそれ。新人は何を買っていったのか知ってるんだろ?」


そう聞くと、新人は「まぁなぁ……」と、言葉を濁した。


「でも、店長から直接何かを聞いたことは一度もない。質問したって教えてくれないからな」


「そんなに重要なことってわけ?」


「そんなもんなんだろうな。村山さんの接客は店長かオーナーのどっちかがやる。俺たちバイトは一切関わらないんだ」


新人はそう言い、ゴミを入れた段ボールを持ち上げた。


会話はこれでおしまいだと言うように、新人は店外のゴミ捨て場へと移動していってしまったのだった。
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