人間発注書
「オシャレで安い店があるんだよ」


「へぇ～」


俺は感心しながらクローゼットの中を確認する。


俺と新人は同じくらいの体格だからどの服も切れそうだ。


「デート服なら、これなんかどうだ？」


そう言って出してくれたのはチェック柄のシャツだった。


きれい目男子が着ていそうな服に一瞬たじろく。


でも、お嬢様の瑠菜の隣を歩くなら変にチャラチャラした服装よりいいかもしれない。


さっそく、新人が出してくれた服を試着していく。


あまり時間をかけているとデートの時間に遅れてしまう。


「お、なかなか似合うな。このジーパンを合わせたらどうだ？」


濃い色のジーパンは裾の部分が折り返されていて、そこだけ色合いが違った。


ちょっとした部分がオシャレになっている。


「いいじゃんこれ」


鏡に映る自分を見て満足して頷いた。


これなら瑠菜の隣を歩いても周りから変な目で見られることもないだろう。


「デートが終ったら返しに来いよ。お前の制服は部屋に置いといてやるから」


そう言う新人に甘えて、俺は約束場所へと向かったのだった。
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