人間発注書
「おい」


俺が1人でドキドキしながらレジをしていると、新人が肩をつついて来た。


「は、なんだよ?」


「なんだよじゃねぇよ。お前ばっかり可愛い子と仲良くしてんじゃねぇよ」


俺にだけ聞こえるようにそう言い、ギロリと睨んできた。


その時俺は新人がミホコ狙いだと思い出した。


「ミホコ、この人は大学生の真城新人。俺のバイトの先輩で――」


「よろしく! ミホコちゃんって言うの? 可愛いねぇ」


俺が紹介してやっているというのに、新人はグイッと前に出てそう言った。


ミホコは驚いたように目を丸くしているけれど、嫌な気にはなっていない様子だ。


なんて言っても新人はイケメンだ。


スタイルは俺と大差ないけれど、外見だけで言えば大抵の女が新人を選ぶと思う。


2人の様子が面白くなくて軽く舌打ちをすると、彼女が困ったような顔をこちらへ向けてきていることに気が付いた。


そういえば彼女の会計がまだ終わっていなかった。

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