人間発注書
そう考えていると、瑠菜が身を乗り出してきた。


「教えてください。私、今までなに不自由なく暮らしてきて、人の苦労とかわからないんです」


それはとても真剣な表情だった。


敬語で話すのもタメ語で話すのも別に苦労に直結しているワケじゃない。


けれど、瑠菜は俺たちがどんな生活をしているのか、知りたいようだ。


「それなら、ドーナツを買ってから教えてあげるよ」


俺はそう言い、瑠菜を促してレジ前のショーケースへと移動したのだった。
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