人間発注書
「瑠菜は何かを隠しているのかも」


ただの直感だったけれど、可能性はある。


「隠すって、なにを?」


「わからないけど、でもTrustの経営不振と関係があったりするのかもしれない」


「そうだな。それが原因で疲れがたまっていて倒れたか、あるいは強烈なストレスを感じることがその場で起こったか」


「その場で何かが起こったなんて――」


『考えられないよ』


そう言おうとしたが、途中で言葉を切った。


瑠菜が倒れる直前に村山の車が目の前を通って行った事を思い出す。


村山はどちらかと言えば金持ちの、瑠菜と同じ世界を生きている人間だ。


もしかしたら、瑠菜は村山の存在を知っていたかもしれない。


そしてその車を見た瞬間、極度のストレスを感じて倒れた……?
< 97 / 304 >

この作品をシェア

pagetop