恋する天の川



「美緒先生のお母さんは来ないよ~
だって、主役は皆なんだから」


私はそう言いながら、出番が迫った子供達の最終チェックに専念する。


そして、私の受け持つチューリップ組さんの劇が始まった。
幕が上がると、たくさんの父兄の方々が拍手をしてくれる。
暗幕で暗くした講堂に背景の星空の絵がとにかくよく映え、まるで天の川が浮いているようだ。

私はバタバタと役をこなしたり裏方の仕事をしたりで、無事に劇を終えることができた。
舞台では、一生懸命に頑張った子供達に拍手喝采が鳴りやまない。

私は恥ずかしながら大粒の涙を流して舞台に立ち、子供達と一緒に何度もお辞儀をした。
幕が下がり、皆で興奮して叫んでいると、また幕が上がる。

この園特有の写真撮影会だ。
一つの演目が終わるとその舞台の上で、そのクラスの家族は好きなように写真を撮る。
衣装を着たままの子ども達は、最高の笑顔でピースをしていた。

私はそんな子供達を遠くで見てまた恥ずかしながら涙ぐむ。
自分の涙もろさに最近うんざりする。
こんなんでちゃんとした先生になれるのかな…


「美緒」


ハンカチで涙を拭いていると、誰かが私の名前を呼んだ。
その方向を見てみると、たっくんが手を振って私を呼んでいる。


「え…?」


たっくんの横には大人になった心太が立っていた。




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