poker face
入院しても、俺はほとんど何も食べられなかった。

一日中ベッドに横になっていると、自然に葵のことが頭に浮かぶ。




見舞いに来ていた由佳は俺に聞いた。


「隼人、何か欲しいものあったら言って。
 私、持って来てあげるよ」





俺はつぶやいた。


『…欲しいものは…


 もう、手にはいらないから…』





由佳は何も言わなかった。



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