sweet voice
どうしてだろう。


もっと一緒にいたい。


もっと近くにいたい。


そんな想いが、あふれそうになってしまう。


伸二くん、ごめん。



「この店」


荒井さんが連れてきてくれたのは、地下にあるバーだった。


重厚な扉を開けると、大人の空間が広がっていた。


一杯目をオーダーして、乾杯して、一口飲んで、おいしいお酒が体の芯まで広がって。


「いつも、こちらで口説いてるんですか?」


「まあな」


「私は、無理ですよ」


「そうか?」


「彼氏いますから」


「その方が燃えるんだよな」


「燃えつきちゃったりして」


「例の彼氏には、今日のことはなんて言ったんだよ」


「えっと・・・特に何も」


「電話かかってきたりしてな」


「それはないです、いま彼はニューヨークですから」


「へー、そうか」


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