sweet voice
数えきれないほどのキスから解放されると、荒井さんは私から10cmも離れていない至近距離で、


「俺、もう我慢すんの、無理」


私の目をのぞきこむように、殺し文句をささやいた。


いつのまにか靴を脱ぎ、荒井さんが導くままベッドに寝かされた。


「やめるなら、今だぞ」


仰向けに寝ている私におおいかぶさるようにしてるくせに、決断は私にゆだねるんだ。


「やめてって言ったら?」


「やめない」


やめられるわけなんて、ない。


もう、お互いを求めてしまっているから。


荒井さんは、ときどき強引で、でも優しくて。


ほどよく鍛えられた胸にみとれて。


私の胸に顔をうずめる荒井さんに、母性本能をくすぐられ。


何度も何度も、自分を見失うほどの感覚に酔いしれた。


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