sweet voice
「・・・どうしたの?」


内心ドキドキしてるけど、悟られないよう冷静に答えた。


「花音さんのことが好きだから。


恥ずかしいけど、早くこの腕でつつみたかった」


チュッ、と軽くキスされて、腕の力がゆるんだ。


「どうかした?」


伸二くんは、怪訝な顔して私の顔をのぞきこんだ。


当たり前だ、されるがままのキスだったから。


「ううん、なんでもない。


それより、大事な話って?」


「食事しながら話そうって思ってたけど、酔う前に伝えようかな」


「コーヒーいれるね」


フワフワと漂うコーヒーの湯気の中で聞いた伸二くんの話は、まるでドラマの出来事のようで、現実味がなかった。


< 114 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop