sweet voice
茜に話して、少し気が楽になった。


一人で抱えこんでいた時は、まわりを高い壁に囲まれているみたいで、もう少しで押しつぶされそうだった。


終業時間になり、帰り支度をしていたら、また茜が私のフロアにやって来た。


「花音、帰ろ」


「心配性だな、茜は」


「なんなら、今晩泊まってじっくり話を聞くけど?」


「まだ月曜だよ、1週間長いって」


会社のビルを出て駅に向かおうとしたら、


「花音」


いとおしい声が、聞こえた。


声の方に向くと、スーツを着た荒井さんが立っていた。


「ちょっと花音、もしかして彼が荒井さん?」


「うん」


「めっちゃイケメンじゃん、紹介してよ」


「えっ、あの、荒井さん。


彼女は、私の親友の茜です」


「はじめまして、北本茜です。


荒井さんのことは、花音からよく聞いてます」


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