sweet voice
「どうも、荒井拓海です」


「花音、だいぶやられてるんで、いたわってあげてください。


じゃ、花音、また明日ね」


茜は、ニヤニヤしたまま帰っていった。


「連絡できなくて、ごめんな。


ちょっと、予想外のことでたてこんでてさ」


「いえ、平気です」


平気です、って答えながら、私のここ数日の悩みは、もちろん伸二くんのこともあるけど、荒井さんから連絡がこなかったことも大きかったんだ、って気づかされた。


そして、私の中で、荒井さんの存在が、すごく大きくなっていることにも。


「ところで、さっき茜ちゃんが言ってた『だいぶやられてるんで』って、なんだよ?」


「それは、その・・・」


「まあ、いいや。


あとでゆっくり聞くから。


それより、メシ行こうぜ」


また、当たり前のように、私の右手を左手でつつんだ。


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