sweet voice
荒井さんと入ったイタリアンは、手頃な値段なのにボリュームもあって、すごくおいしかった。


ワインの力も借りて、伸二くんにプロポーズされたことを話してしまった。


話したあとに、少し後悔した。


荒井さんには、話すべきじゃなかったって。


「ふーん、先に越されたってことか」


「すみません」


「なんで花音が謝んの?」


「荒井さんは、聞きたくないと思うからです」


「うれしくはないけど、隠されるよりはマシだな」


「そうですか」


「で、どうすんだよ?


ニューヨークで生活できるなんて、そうそうないもんな。


こんなチャンス、もう二度とないぞ」


思い上がってた。


荒井さんは、止めてくれると思ってた。


行くな、って。


俺のそばにいろ、って。


そんな言葉を期待していたのに、正反対の言葉が返ってきた。


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