sweet voice
「だって、さっき私が決めろって言ってたじゃないですか」


「じゃあ、俺が断れって言ったら、断るのか?


そもそも、別れ話するんじゃなかったのかよ。


プロポーズされて、余計話せなくなったんだろ。


そういう花音のどっちつかずの態度が、内川くんのことも俺のことも傷つけてんだよ」


荒井さんの、言う通りだ。


私が決められないことで、まわりに迷惑をかけてしまっている。


「・・・ごめんなさい。


今日は帰ります」


お財布から3000円出してテーブルに置いた。


いつもなら、『俺が払うからいらねーよ』とか言って、受け取らないのに。


私の方を見ることなく、黙ったままだった。


最悪だ。


こんなはずじゃなかったのに。


荒井さんに、打ち明けなければよかった。


打ち明けるなら、私の気持ちが決まってからにするべきだった。


外に出ると、霧雨が降っていて。


相変わらず傘のない私は、そのまま濡れて帰った。


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