sweet voice
「お皿がなくて、ファミレスみたいにワンプレートになっちゃってごめんね」


「平気だよ、洗う枚数が減るし、木目調のプレートおしゃれだし」


カクテルを注いだグラスを伸二くんに渡し、私はビールで乾杯した。


伸二くんは、おいしいって食べてくれた。


いつも以上に、ふたりとも饒舌だった。


おしゃべりをやめたら、今夜話さなきゃならない話題にふれなければならないことを、ふたりとも知っていたから。


不自然なほど、話題は尽きなかったけど。


ついに、沈黙がおとずれた。


言わなきゃ。


「伸二くん、あのね、」


「花音さん、ニューヨーク行けないんでしょ?」


「えっ?」


「花音さんの顔見てたら、それくらいわかるよ。


一生懸命作ってくれた夕飯が、最後の晩餐ってことも」


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