sweet voice
「で、荒井さんとつきあうの?」


「ううん、それはないよ」


「好きなのにどうして?」


「好きだけじゃどうにもならないことがあるって、伸二くんならわかるでしょ」


「荒井さんも、花音さんのこと好きだと思うけどな」


「うん、少し前まではね。


今はもう、嫌われちゃった気がする」


「ケンカでもした?」


「うん、まあそんなとこ」


「僕も、花音さんとケンカするほど深くつきあいたかったな」


「伸二くんには、私よりもっとふさわしい人がいると思うよ」


「僕は、花音さんとずっと一緒にいたいって思ってたよ。


これでも、取り乱さないように必死で耐えてるんだけどな」


「私の身勝手で、本当にごめんなさい。


ニューヨークだから断ったわけじゃないし、伸二くんは何も悪くない。


ただ、結婚に踏み切る勇気がなかっただけ」


< 133 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop